まとめて読了記録

今年に入ってからゆっくり読み始めて
3冊の本を読みきりました。


・異邦人 原田マハ
登場人物は結構少なく、進むごとに2人の目線が交互に語られていくという物語。
物語進むごとには主人公が誰かがはっきりしてくる。
穏やかに進むんだけど、最後一気に加速した感じがする。
一番響いたのは良いものを見た時の感覚。胸が熱くなる瞬間。狂っていく瞬間。が
本当に上手く言語化されているなって感じ。
均等にある程度大事にしていたものに優先順位をつけて生活していたものが
その胸が熱くなった瞬間、狂ったまま進んでいく感じがよかったなー。


自分は見た瞬間に感情が湧き上がるタイプではなくてその時は違和感だけが残っていて
そのあと徐々に侵食されていく感じだから、目利きの菜穂の湧き上がる感覚っていうのは羨ましい。


あとゴッホの睡蓮という名作を巡ってのストーリーが展開される部分があるけど
名作と呼ばれる絵画は転々といろんなところを旅していろんな人の所有物に一時はなるけど永遠に所有するということはできないみたいな文章があったけど。
作家がいて作品があって、その一体性がある時期は期間限定であって
作家は死ぬけどそっから作品が離れて作家も見ることのなかった景色をもしかしたら何百年何千年と生きるんだと思うと不思議な感覚になる。


美術に対する描写が細かいし、多い。これからもチェックしたい作家の一人に追加。


・四月になれば彼女は 川村元気
これ、買ったのは多分大分前だった気がする。
途中まで読んで放置していた。けど、なんとなくもう一回読んでみよっかなって
思って途中から読み始めたら上手いこと入れた。
なんだろう。小ぶりでずっと降り続く雨って感じの小説。
主人公は生きている人だけど、なんか死んでるみたいな無気力感で
人生流れるまま受け身に生きているような印象の人。
心と体がずっと離れている状態で生きている人だったけど
やっと最後に一致した。っていうそういう物語なのかなって思います。


自分でもよく考えるけど、心と体が一致する状態ってなかなかないなと思う。
大人になると特に。ただそういう状態であることに耐えきれなくなって
鈍感になっていくのかなって、そう思うから。
そうならないようにしたい。



・革命前夜 須賀しのぶ
これは!本当に面白かった。
途中まではドイツという場所の設定になれなかったけど
音楽だけでなく政治やその時の人間関係、纏っていた空気みたいなものも
描かれていて入っていきやすかった。
ストーリーも途中から加速していく感じで
自分のページを読むスピードもどんどん上がっていったのがわかる。
日本の、昭和から平成に切り替わる時代。
ドイツでいうとベルリンの壁が壊れるまでの時代。
西と東で分裂していたとき、
人々の思考の偏り、不満、誰も信用できないという感覚、
そんな中で音楽だけの感性は研ぎ澄まされている人々の物語。
最後の展開は結構劇的で、小説として面白かった。本当に。


この小説は音楽と場所がなんとなく脳に浮かび上がるっていう感覚で読み進められた気がする。これ、思い浮かべているのって脳みそのどこらへんなんだろうな。


これをきっかけにして、夜小説を読みながら
クラシックを聴いていた


まずは小説で主人公が一番好きなバッハ。
なんか聴いているとき、こう空間が浮かび上がるくらいの奥行きを感じた。
クラシックは長らく聴いてなくて、自ら聴こうって思ったことはあまりなかった気がする。
小説を読んだからか、穏やかな曲調の中にも何かに飢えている感じみたいなのを感じて
ズンと深いとこに突き落とされてそっから上を見上げている感じっていうのかな。
なんかそういう印象の曲に出会った。


そのあとはヨハネスブラームス。
そのあとはエドヴァルドグリーグ。
てな感じで来ている。


で今読み進めているのはカフカ 城。
そのあとカフカ 変身を読もうと思う。

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