週末スケッチ1 三鷹 天文台


仕事しながら学校に通う日々が続き約一か月。これが二年間続く予定。仕事も納品が近づくと一気に忙しくなるので学校と仕事とで右往左往しながら過ぎた一か月。まだこの生活には慣れない。
でもやはり、大学を卒業してからちょうど3年が経ち、夜ではあるが大学に通う日々はなかなか学びが多い。それは人の言葉を聞くという機会が自ずと増えるからだ。当たり前のことを言われたとしても、あえて言葉にされて耳でキャッチすることで妙にストンと身体に落ちてくることがあるのだ。


今週のある授業ではある先生が「スケッチを描いたほうがよい。できれば毎日。それは人に見せるものではなくて記憶をする媒体として方法として、とても有効である。」ということを言っていた。写真をカシャッと一枚とるのは簡単。スケッチをかくと手間がかかる。
しかしスケッチをかくことはメリットが多い。まずかくことでモノをよくみる。ディテールを自然とみる。膨大な情報が毎日頭に入ってくる中全てを記憶に残すのはむずかしいが、手を動かすことで記憶が鮮明になる。画角を自分で決定する。お金がかからない。自然と足も動く。脚色も自由。つまり抽象性が高い。考えていたら気分が高まってきた。


という訳で毎日はできないが、週末は足を動かし、建物や自然、気になったものを見に行く。
第一回目は三鷹の天文台。自転車で行ける距離だし、元々気になっていた場所なので丁度良いと思った。スケッチは下手だし、詳細部分書いている最中「あ。しまった。実際と違う」となったがこれはスケッチだから良しとする。これは実物から少し拝借した妄想の線であると思えば何でも書ける。

天文台は基本的に緑に囲まれていた。実際に今でも観測に使われているという場所もあったが全体的に妙に落ち着きはらっている佇まいである。アールの屋根には錆びついた跡。緑のツタが建物を這っている様子。そして雨がふりそうな曇りがちな天気。天気まで味方してくれてとても建物を良い状態で見ることができた。見ている最中に雨が少し大降りに降ってきたので第一赤道儀室で雨宿りをさせてもらった。入った時は誰もいなく、椅子が置いてあったのでそこで黙々と線を書き込んだ。すると一人の男性が入ってきて、もう一つの椅子にじっと座っている。気にしないでかいていたら、3人組が入ってきた。入ってきたとたん、その男性は立ち上がり「この赤道儀室では実際に観測が行われていて~」という説明をしていた。「あら。係の人だったのね。これは失敬」と思ったのだがスケッチを進めた。しかし途中で思った。(となると、この私が座っている簡易椅子も係の人が座る用だったのではないか)という疑念を抱いたが無事終了させお礼を言って出た。建物を出るとちょうど雨は止んでいた。空間体験に人も入り込むとまた記憶に残りやすい。モノに集中し周囲の人を気にしない、それでいてナルシストになった気分。良い傾向だと自分では思う。
という事で、その下手スケッチを一枚。


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